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2025年度最終成果発表会

2025年度Educational Challenge 最終成果発表会
最終報告書は以下をクリックください

ご講評(要約)
信濃教育会・事務局次長 原 文章様


本日は昨年に続き、この場に参加させていただきありがとうございました。皆さんの発表を拝聴しながら、教育とは単に知識や技能を伝える営みではなく、人の心に希望を灯し、社会とつながりながら未来を形づくっていく創造的な営みであることを改めて実感しました。どの発表にも共通していたのは、子どもと真剣に向き合い、自ら考え、試行錯誤しながら実践をつくり上げてきた姿勢です。その姿から、教員として最も大切にすべき「核」の部分にすでに触れていることを強く感じました。
「EduMed」
最初の実践では、「閉じる決断」や「苦渋の決断」という言葉が象徴するように、活動の背景にある深い葛藤と責任が伝わってきました。特に、病気と向き合う子どもが活動を通して希望を見いだしたという保護者の言葉は、この実践の本質を端的に示していたと思います。人が生きるうえで「希望を持てる」ということは、何よりも大きな意味を持ちます。その希望を支える存在になれたことは、教育に携わる者として極めて価値のある経験です。一方で、ボランティア活動は熱意だけでは持続しません。関わる側が疲弊してしまえば、結果的に活動も続かなくなります。だからこそ、継続可能な仕組みをどうつくるか、個人の献身に依存しない体制をどう整えるかという視点が重要になります。今回の実践は、その意義と同時に、持続のあり方を考える契機も提示していたように思います。
「Welcome to Zenkōji!― Kids English Tour 小学生の英語学習と外国⼈観光客をつなぐ実践活動」
ウェルカムキッズの英語活動では、学生が主体となって場を構想し、子どもたちに実際に英語を使う機会を創出した点に大きな意義を感じました。小学校英語は制度として導入されていますが、現場では指導への不安や負担感が少なくありません。ALT任せになったり、デジタル教材に依存せざるを得なかったりする現状もあります。そのような中、学生が柔軟な発想を生かし、体験的で温かみのある活動を組み立てたことは、学校にとって大きな支えになります。また、「ゼロから活動をつくる難しさ」に向き合った経験は、教員として極めて重要です。学生時代に創造の苦労と達成感の両方を経験したことは、将来必ず大きな力になると感じました。
「ワクワクサイエンス・オン・ザ・ゴー」
この実践からは、理科の楽しさの原点を強く思い出させられました。多くの子どもは小学校段階では理科に興味を示しますが、学年が上がるにつれてその関心が薄れていく傾向があります。その背景には、体験の減少や学習内容の抽象化があるのかもしれません。今回のように、驚きや発見を伴う実験体験を継続的に提供することは、学びへの内発的動機づけを高めるうえで非常に有効です。「もっと知りたい」という気持ちが芽生えれば、自ら学びを深められる環境が整っています。まずはその火種を灯すことが重要です。ただし、小学校理科は準備や片付けに多くの時間と労力を要し、担任にとって負担が大きい教科でもあります。だからこそ、誰もが実践しやすい教材の共有や仕組みづくりが求められます。今回の実践は、理科教育を再び魅力あるものとして再構築する可能性を示していました。
「みんなで模擬投票プロジェクト2025~SNS時代、君たちはどう投票するか~」
デジタルやAIを扱った模擬投票プロジェクトの実践は、現代的課題に真正面から向き合う取り組みでした。AIやAGIの進展によって、人間の役割そのものが問い直される時代に入っています。知識の量や計算の速さでは機械にかなわない社会において、人間に求められるのは何か。それは、最終的な判断を引き受ける力であり、価値を選び取る責任です。今回の実践では、デジタルツールやSNSを活用しながら、子どもたちが情報を比較し、考えを整理し、他者と対話しながら判断する経験を重ねていました。これは単なるICT活用ではなく、主権者としての資質や批判的思考を育てる本質的な教育です。AI時代だからこそ、人間の判断力を鍛える教育が不可欠であることを改めて実感しました。
「ステップアップメイカーズプロジェクト」
このプロジェクトでは、「つくること」の本質的な価値が示されていました。既製品やデジタルコンテンツが溢れる社会の中で、子どもたちが自らの手で素材と向き合い、試行錯誤しながら形を生み出す経験はますます貴重になっています。ゼロから何かを創り出し、完成したときの達成感は、自己効力感や主体性の基盤となります。こうした経験を学校の中で保障することは、未来を生きる子どもたちにとって大きな意味を持ちます。しかし、新しい取り組みには必ず慎重な声も上がります。それでも、子どもが夢中になって取り組む姿こそが最も説得力のある証拠です。信念を持ち、理解者と協働しながら実践を積み重ねていくことが、学校文化を少しずつ変えていく力になると感じました。
「結(むすび)~龍渓硯の制作を高遠高校の生徒と共に~ チーム『書』どう?」
最後の硯の実践は、地域文化と教育を結びつける深い意義を持つ取り組みでした。硯という伝統的な素材を通して、子どもたちは単なる技術だけでなく、その背景にある歴史や職人の思い、地域の文化に触れていました。素材に向き合い、時間をかけて形を整える過程には、効率とは異なる価値が宿っています。そこには「急がない学び」「手で考える学び」があります。地域の資源を教材化することは、子どもたちが自分の足元にある価値を再発見することにもつながります。学校と地域が結びつくことで、学びは教室の中に閉じず、社会へと広がります。この実践は、地域に根ざした教育の可能性と、伝統を未来へとつなぐ役割を示していました。
全体を通して
本日の発表は、希望、創造、判断、地域とのつながりという多様な側面から、これからの教育の姿を具体的に示してくれました。どの実践も、子どもの可能性を信じるところから出発しています。ぜひ、この経験を糧に、現場に出ても挑戦を続けてください。教育は一人で行うものではなく、仲間とともに広げていくものです。
本日は本当に豊かな時間をありがとうございました。皆さんのこれからの歩みに、大きな期待を寄せています。
以上


20265年度中間発表会

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