2024年度のEducational Challengeは,書類審査,プレゼンテーション審査の結果を経て,以下の6プロジェクトが採択されました。
採択おめでとうございます。各プロジェクトの展開を祈念いたします。
繋(つなぐ)~書との融合で木曽漆器を未来へ~ チーム「書」どう?顧問:小林比出代
当申請団体は、昨年度「蒔絵と書道の出会い」を企画し、木曽漆器の蒔絵師ご指導のもと、木曽漆器に関する基礎知識を学び、蒔絵と書道を融合させた作品を制作し、専門知と技能を深めた。
本年度は、昨年度の活動をふまえ県内高校生と交流することで、木曽漆器の保存継承に寄与する人材育成のきっかけとなる活動、具体的には高遠高等学校との連携を計画した。高遠高校は高遠藩の学問所「進徳館」を継承し大正15年に創立、現在はコース制を導入し、その一つが「芸術文化コース 書道専攻」である。その高遠高校から、昨年度のプロジェクト内容を知り、蒔絵師と当該大学生の指導で、既述コースの高校生全員が作品の制作に挑みたいと要望があった。本プロジェクトで大学生が木曽漆器に関して専門知を深め発信することで、次世代に地域の伝統文化や芸術を保存し継承するための一助となる、ひいては木曽漆器に関する伝統文化や技法について保存継承の実現を目指している。
BIGPEC TOSS信州大学顧問:西一夫先生
教育学部の学生を中心とした組織編成によって、臨床経験を深めると同時に教育者としての協働性や組織運営等を経験的に学ぶ有意義な機会となることが期待される。また、他学部学生を複数含むことから多様な視点からの運営が望まれる。このように学生個々がさまざま経験を経ながら、多様な人材集団の組織運営に関わることは、キャリア教育の観点からも学生たちの成長に寄与することになるであろう。
教職を目指す学生たちにとって、学校という空間に限定されない環境で教育経験を持つことは、さまざまな背景を持つ児童・生徒と関わる契機となる。そうした学びの機会を自主的に立ち上げ、経験知を共有することで主体的に教育と向き合う姿勢を涵養することとなる。このような学生の活動を支援することは、本学部が掲げる「臨床の知」を達成するための一つの指標ともなるであろう。これまでの活動を顧みながら、教育活動として児童・生徒、そして参加学生の学びとなることを切に願う。
昨年度の実践、その後の反省を受けて、児童・生徒の学びに寄与できる企画となることを庶幾するものである。
EduMed Youth顧問:宮地弘一郎
入院児において学習空白を改善することは、治療に向かう心理支援としても重要です。また入院環境に子どもらしい時間を提供する、つまり子どもにおける自然を実現することは、発達保障において不可欠といえます。EduMedプロジェクトは、昨年度、様々な医療施設と連携し、一人ひとりの入院児に素朴に寄り添いながら、様々な成果を上げてきました。また学生達は、活動を通して支援の難しさやあり方を学び、人間的にも大きく成長したと思われました。次の課題として、子どもにおける自然を実現する上でより重要なことは、支援のSDGs、そのためにもEduMedプロジェクトのマインドをもった若者が増えてゆくことです。既に昨年度連携した病院からのニーズも届いており、学生達は確かな志を持って改めてプロジェクトを立ち上げました。入院児を支えるのみでなく、EduMedのマインドを拡げ繋げてゆくためにも、本プロジェクトを強く推薦いたします。
24-04 I’MPOSSIBLE
I’MPOSSIBLE -様々な人と様々なスポーツを知ろう!楽しもう!- 信大SEROWS顧問:橋本 政晴
本プロジェクトは、<障害者スポーツ>というカテゴリー化の内破を目指す意欲的な取り組みである。2020東京パラリンピックを中心としたいわゆる障害者スポーツの様々な取り組みは、「障害者スポーツ」あるいは「パラ・スポーツ」といったカテゴリーは普及させたものの、健常者=オリンピック/身体的障害者=パラリンピック/知的障害者=スペシャル・オリンピックスといったようにカテゴライズすることで、人びとの区分けを成立させ、かつ人びとの分断を浸透させているとの指摘もある(渡正『障害者スポーツの臨界点』新評論)。対して本プロジェクトは、日常的な生活空間においても、スポーツという非日常的な活動空間においても、こうしたカテゴリー化を内破し、私たちが暗黙に受け入れている分断を打ち破ろうとする試みである。私たちのimpossibleが実は可能性も内包していることを気づかせてくれる、そんなプロジェクトになることを期待したい。
「コンピュータ教室を改良したメイカースペース」 信州大学顧問:小倉光明
このプロジェクトは,「作ることで学ぶ」という考え方(構築主義)に基づいて子どもたちにプログラミングやモノづくりを主体的に体験させることで,創造的思考力を育むことを目的としています。具体的には,信濃小中学校の使われなくなったコンピュータ教室をメイカースペースとして改良し,3Dプリンタやカッティングマシンなどのデジタル工具を揃え,新しいアイデアを促進する環境を整備しています。昨年から取り組みを継続しており,現在,週に三日間,休み時間や放課後に開放し,制作活動を行っています。また,校長先生やMakerフェロー研修経験教員の協力のもと,小学校のプログラミング教育の授業,中学校技術科,生徒会活動,特別支援教育との連携を進め,幅広い教育活動に貢献しています。このプロジェクトが,子どもたちの創造力と学びを広げる素晴らしい機会を提供し,学校全体の活性化に寄与すると考えています。
キッズアートプロジェクト AEMW顧問:大島賢一
本プロジェクトは、長野県立美術館の学習プログラムの一環として月に一度開催される「こどもアートラボ」の10月の回を実施することを中心に企画されています。同様のことは2023年度すでに授業として行っておりますが、本年度は学生たちの自主企画として、授業とは切り離された、より主体的なものとなっています。
メンバーの多くは、昨年度のワークショップの企画、運営を体験しており、その上で継続して行いたいという意思を示したものたちです。そこに、新たなメンバーを加えた形での運営となります。参加学生の意識、意欲は高いです。
美術館学芸員による美術館教育についてのレクチャーや、企画開発の支援など専門的な知見につながる学びの機会もあり、美術教育を学ぶ学生たちの成長に寄与すると考えています。
ワークショップそのものは採択の如何によらず実施することが決まっており、すでに学芸員によるレクチャー等が行われています